
徹底解剖!横浜市営地下鉄ver.2(3)サイン・駅編㊤
著者:青線
価格:1,980円(本体1,800円+税)
発売日:2026年8月16日
仕様:B5判・フルカラー90頁
ISBN:9784909784155
「サイン編」では、横浜市営地下鉄の各駅に設置された案内サインを第1~第3世代に分類し、その変遷と見分け方を豊富な写真で解説します。「駅編(上)」では、関内~湘南台の17駅について、構造、歴史、改修による変化など、各駅の特徴を記録しました。
(ブルーライン桜木町〜あざみ野、グリーンライン各駅については、第4巻に掲載しております。)
本書について
『徹底解剖!横浜市営地下鉄 ver.2(3)サイン・駅編㊤』は、横浜市営地下鉄の案内サインと、ブルーライン南部の17駅を取り上げた本です。前半の「サイン編」では、鉄道駅のサインシステムに関する基礎知識と横浜市営地下鉄における変遷を解説し、後半の「駅編㊤」では、各駅の構造、歴史、設備、周辺地域との関係を紹介します。
【サインシステムの基礎知識】
サイン編では、はじめにサインとサインシステムの違い、駅に設置されるサインの種類と役割、利用者を目的地へ導くための情報の組み立て方などを解説します。
単体の表示を美しくデザインするだけでなく、書体、色彩、ピクトグラム、表示内容、設置位置などに一貫した規則を与え、駅全体の案内を体系として成立させるのがサインシステムです。これらは横浜市営地下鉄の観察に限らず、鉄道駅をはじめとする公共空間のサインを読み解くうえで基礎となる知識です。本書では、「公共交通機関旅客施設のサインシステムガイドブック(大成出版社)」を参考に、サインシステムの設計に関する要点をまとめています。
【横浜市営地下鉄のサインの変遷】
本書では、横浜市営地下鉄の開業以来のサインシステムを、設置時期に応じて第1世代・第2世代・第3世代に分類します。さらに、同じ世代の中でもさらに細かい設置時期による違いを整理し、サインで使用される書体、配色規則、レイアウト、乗車系サインと降車系サインの使い分けから、その変遷をたどります。
横浜市営地下鉄のサインは、駅ごとに無関係な表示が設置されてきたのではなく、時代ごとの案内思想とデザイン上の規則に基づいて整備されてきました。一方、更新は全駅で一斉に進むものではないため、異なる世代のサインが同じ駅に併存し、過渡期にしか見られない組み合わせも生まれます。本書では、こうした差異を単なる「新旧」として扱わず、各時代のサインシステムを判別し、その設計思想と更新過程を読み取る手掛かりとして記録しています。
【ブルーライン南部17駅の記録】
駅編㊤では、関内、伊勢佐木長者町、阪東橋、吉野町、蒔田、弘明寺、上大岡、港南中央、上永谷、下永谷、舞岡、戸塚、踊場、中田、立場、下飯田、湘南台の17駅について、各駅の特徴を見開きで解説します。
駅構内の写真を並べるだけでなく、建設時の条件、ホームや改札階の構造、周辺市街地との関係、開業後の改修、それぞれの駅に残る設備や意匠を解説しました。
たとえば、京急線との乗換駅である上大岡駅では、乗換拠点として発展してきた駅の歴史と近年の改修工事の事例を紹介します。舞岡駅では、戸塚延伸まで暫定的な終着駅となり、単線運転が行われた経緯を取り上げました。下永谷駅では、地上の地形と特徴的なアーチ状断面との関係を解説しています。下飯田駅については、大型商業施設「ゆめが丘ソラトス」の開業後を取り上げ、駅と周辺地域の変化を記録しています。
【現在に残る「地下鉄遺跡」】
駅ごとの解説に加え、地下鉄の歴史を現在の施設や街の中から読み解く企画ページも設けています。
「『地下鉄遺跡』を巡る」では、未成線となった本牧線のために用意された関内駅の1・3番線、伊勢佐木長者町駅の床に残る仮検車場跡とみられるタイルの境界、かつて運転指令所や変電所などの地下鉄施設が置かれていた旧横浜市教育文化センターを取り上げます。
『横浜市高速鉄道建設史』の記述と現地に残る痕跡を照合し、開業初期の地下鉄施設や実現しなかった路線計画が、現在の駅や街にどのように残されているかを探りました。
【運河跡が決めた地下鉄の経路】
「運河と地下鉄」では、かつて多数の河川と運河が流れていた吉田新田という地域に注目し、横浜市営地下鉄ブルーラインと運河の関係という視点から沿線を見直します。
まずはブルーラインが関内駅〜吉野町駅で通過する吉田新田とかつての運河の姿について解説し、地下鉄と首都高速道路による運河跡の利用計画、運河後にできた大通り公園、伊勢佐木長者町駅のレリーフ「橋の詩」などを手がかりに、埋め立てられた河川の位置が地下鉄の経路や駅施設、現在の都市景観に与えた影響をたどります。
【本書が記録するもの】
駅の姿は、車両ほど明確な引退日を告げないまま変化していきます。古いサインが新しいものに置き換わり、改札や通路が改修されると、それまで日常の一部だった景色は静かに失われます。
本書は、駅を単なる列車の乗降場所ではなく、建設された時代、案内の考え方、都市の成り立ち、地域との関係が積み重なった対象として捉えています。一般的な駅の来歴から、建設史を読み込み、現地を継続的に観察しなければ捉えにくい施設の痕跡まで、横浜市営地下鉄の駅とサインの変化を体系的に残すことを目指しました。
【2018年版からの主な更新】
本書は、2018年に刊行した旧版「徹底解剖!横浜市営地下鉄(3) -サイン・駅編㊤ -(2018年)」の構成を受け継ぎながら、その後約8年間の変化と新たな調査成果を加えた改訂版です。
サイン編では、2018年以降も各駅で整備が進んだ第3世代サインについて、分類と解説を詳細化しました。あざみ野駅では、サイン更新前後の同じ場所を比較し、誘導標、駅名標、出口案内など、サインシステムを構成する各種サインのデザインがどのように変化したのかを網羅的に記録しています。また、旧版では扱いが限られていた第2世代後期式サインについても、特徴、設置時期、他形式との違い、各駅への展開を詳しく解説しました。
駅編では、各駅の写真を近年撮影したものへ大幅に更新し、改修によって変化した駅構内や周辺の景観を反映しました。各駅の乗降客数などのデータも、刊行時点の数値に更新しています。
目次一覧
3-1 サイン編
・サイン編概要
・サイン計画の手法
・横浜市営地下鉄におけるサイン
・第1世代サイン
・第2世代サイン
・第3世代サイン
・サイン更新
・仮設サイン
3-2 駅編㊤
・駅編㊤概要
・駅編㊤目次
・関内駅
・伊勢佐木長者町駅
・pick:「地下鉄遺跡」を巡る
・阪東橋駅
・吉野町駅
・pick:運河と地下鉄
・蒔田駅
・弘明寺駅
・上大岡駅
・港南中央駅
・上永谷駅
・pick:地下鉄工法と断面
・下永谷駅
・舞岡駅
・戸塚駅
・踊場駅
・中田駅
・立場駅
・下飯田駅
・湘南台駅
・pick:10年越しの駅の景色
・参考資料集
